【ベーグルをやめた理由】

【ベーグルをやめた理由】

先週もご利用いただき、ありがとうございました。
宮城県も梅雨入りしましたね。
今週は涼しい日が多そうで、パン屋にとってはありがたい週となりそうです。

さて今日は、ずっと書かなければと思っていたベーグルについて、長文になりますが、書かせていただきます。

昨年リニューアルオープンし、薪窯が本格稼働してから、パンのラインナップが以前より減りました。
スイッチひとつで設定した温度まで余熱できた電気式と違い、薪を割り、その日の気温湿度で微妙に変わる窯の温まり方を意識しながら薪をくべる作業が増えましたので、その分なにかを減らさなければいけませんでした。

それがベーグルを作ることをやめた一番の理由です。

そしてその分、カンパーニュの美味しさを追求したいと強く思うようになりました。

それは、この場所で、夫婦二人でパン屋を営み続けるため、生きていくために選んだ方法でもありました。

車でなければ来れないような、お店をやるには不向きな場所で、2011年から今までなんとか続けてこれましたが、これから先も永く続けるにはどうすべきか。ずっと考えてきました。

一番は家族のためです。
そしてお客様と地域のために、ここで持続可能なパン屋の形はなにか。

その答えが、薪窯でパンを焼くことでした。

そして、薪窯でいちばんおいしく焼けるパンは、大きなカンパーニュです。

水分量が多く、瑞々しく焼けるカンパーニュは常温で日持ちもし、薪窯の強い火力でとても香ばしく焼けます。
翌日さらに味わい深くなるため通販にも適し、廃棄するリスクも減ります。
色々な料理にも合い、飽きも来ず、シンプルで、なにも入れなくても不変的な価値があります。
成形も大きく丸めるだけで、生地にダメージを与えなくて済みますし、その分薪窯に手をかけることができます。

これらのメリットは、ベーグルには無いものでした。

修行経験のない、素人同然のパン屋がお店を始め、その収入だけで生きていくためには、パンの種類を増やし、より多くのお客様に来てもらわねばとずっと考えてきました。
しかしその方法を続けるには、多くの無理をする必要がありました。
体調を崩すことも多く、このままでは長くは続かないと思っていました。

薪窯のパンに可能性を見出だしてから、僕が目指したい道には、既に先駆者が沢山いたことを知り、実際にその方たちに会いに行けたことが本当に大きな一歩になりました。

今、こうして、この住宅街の中でも、薪窯のパン屋が出来ているのも、沢山の方々のおかげです。
本当にありがとうございます。

ベーグルはもう焼かないんですか、と聞かれる度に、以前のお店のベーグルを好きでいてくれた方がこんなにもいてくれたんだと思うと、大変嬉しくもなりますし、同じくらい申し訳ない気持ちにもなります。

本当ならば、お客様のご要望には寝る時間を削ってでもお応えすることが、お店としてあるべき姿なのかもしれません。

しかし、今はふたりのこどもと過ごす時間も大切にしたい。
自分たちのできる容量の中で、最高だと思えるパンを焼いていきたい。
と、思っております。

もう少し、こどもが手がかからなくなれば、余裕ができたらまた、ベーグルも焼くかもしれません。

実際にはお客様の来店数も大変減りましたし、リニューアルオープンしてからずっと、厳しい状況が続いています。

でもこれは、僕たち家族の挑戦でもあります。

大通りに面しているわけでもない、住宅街の中の小さな店でも、できることがある、できるんだということを、こどもたちに見せたいと思っています。
そのために、ベーグルをやめました。

これからも、今のスタイルで、自分たちが届けられる最高のパンを焼き続けていけたらと思っています。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

totomaぱん 早坂

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